てんかんと遺伝形成
てんかんの原因には遺伝が関係する場合があります。4つの遺伝形式に分けて特徴をまとめました。
遺伝形式のまとめ(図A〜D)
| 図 | 想定される形式 | 特徴 | 家族への影響 |
|---|---|---|---|
| 図A | 常染色体優性(顕性) | 1つの変異で発症。親から子へ約50%で遺伝。 | 親が発症例なら子へ伝わる確率が高く、遺伝カウンセリングで数字を示しやすい。 |
| 図B | 常染色体劣性(潜性) | 両親から1つずつ変異を受け取り発症。保因者は無症状。 | 両親が保因者の場合、子どもに25%で発症する可能性がある。 |
| 図C | X連鎖劣性(潜性) | 男女で出方が違う。男性が発症しやすいパターンなど。 | 性別でリスク説明が変わる。母方の保因者チェックが重要。 |
| 図D | X連鎖優性(顕性) | 男女で出方が違う。男性が発症しやすいパターンなど。 | 性別でリスク説明が変わる。母方の保因者チェックが重要。 |
図解(左上A・右上B・中段左右C・下段左右D)

図A:常染色体優性(顕性)遺伝
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親から1つの変異を受け取れば発症する可能性がある
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発症者が子どもにその変異を伝える確率は 約50%
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ただし、変異の「発現率(実際に症状が出るかどうか)」や「重症度」は個人差が大きいことも
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発現率や症状の重さ・開始年齢が変動するため「必ず症状を持つ」とは言えない

図B:常染色体劣性(潜性)遺伝
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発症には両親双方から変異を受け取る
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両親は「保因者(変異を持っているが発症しない)ことが多い
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子どもの発症確率は25%、保因者は50%

図C図D:X連鎖遺伝
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「X染色体上に変異がある」タイプ。男性(XY)・女性(XX)で遺伝の出方が異なる
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例えばX連鎖劣勢の場合は男性が変異を持つと発症しやすく、女性は保因者の場合が多い
- 父母どちらが変異を持っているかで伝わる方式が異なる
ちちあなた:- jjpm_202110.pd

多因子遺伝(遺伝子+環境)
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いくつかの遺伝子が影響を及ぼし、さらに環境因子(体内環境・出生後の影響・健康状態など)が加わり発症する形式
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もっとも該当する可能性が高い
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単一の変異だけでは発症せず、「複数の要因が重なったとき”閾値を超えたとき”」に発症する考え方
- 伝わる可能性を具体的数字で表すことは難しい
